不動産のツボ HP版 <住宅ローン 編>

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<田舎の土地を買って>

田舎の土地を買ってローンを組むつもりのお客さんで、 こんな事例がありました。


市街化が進んでない地域で、 地目が田、畑、山林、原野などの場合、

地積(面積)の測量がされてない事が多いです。


そして、固定資産税などの税金は面積が大きいほど高いので、

昔は地積を過小に自己申告して登記するのが普通でした。


よって、登記簿の面積と実測とでは、 10%以上の差があるものです。

国土調査が済んでいない地区では、「字限図」(あざぎりず、じげんず)という

いかにも手描きっぽい公図(→絵と言う方がピッタリ?)が多いです。


上記の他、地積測量図も登記されてないので、銀行側も担保評価に困ります。

そこで、銀行はこういう要求をしてきます。

1.境界を明示する
2.地積測量図を登記する

以上は実は簡単そうで、なかなか大変なのです。


「境界を明示」とは、当然に隣地の承諾を要します。

周囲の隣地所有者全員に実印をもらい、 印鑑証明書を添付してもらわねばなりません。

地積測量図の登記にも必要となります。


民民境界なら、お隣同士でもあるので、話し合いで何とかなります。

菓子折りと小遣い程度の謝礼で実印を押してくれるでしょう。


しかし、官民境界となると、 話し合いではなく、正規の手続きを踏まねばなりません。

建築は 「巾4m以上の公道に間口2m以上接していなければならない」 ですから、

家を建てるには原則、 官地(公道)に接しているワケですから大変です。


歩道の切り下げなども必要なら その申請にも官民境界の確定図が必要です。

そうやって境界が確定して、やっと測量が可能になります。


いろんなパターンがあるので一概には言えませんが、

普通の人がマイホーム用の土地を買い、

境界確定〜測量〜地積測量図登記及び歩道の切り下げ申請 までをやると、

100万円では済まないでしょう。


例えば50坪の土地で100万円の出費なら 坪当たり2万円ですから大した事ではありません。

しかし、測量や登記だけでなく、更に土木工事で、莫大な追加費用がかかるのです。


簡単に見積もっただけで数百万円でしたから、 その土地を買うつもりだったお客さんは諦め、

区画整理された土地の一画を買う事になりました。


なぜ、そう簡単に諦めるの? と思う読者も居るでしょうから、 蛇足ながらさらに説明します。


このようなケースでは、土地を引渡してもらい、 所有権移転後でなければ土木工事にかかれません。

他人の土地を勝手に造成するワケにはいかないのです。

しかし、所有権を移転する際には、 土地の代金を払わねばなりません。

ところが、未造成で、 建築にかかれない状態ですから、 銀行は住宅ローンを実行してくれません。


つまり、

・土地購入資金
・測量〜登記にかかる費用
・土木工事費用 は、

自己資金で先に払わないといけないのです。 ココまで説明して、お客さんは諦めました。


「後で絶対に払うから、信用して進めてくれませんか?」 という人が稀に居ますが、

受けてくれる不動産業者は一社もないでしょう。

その人を信用してないのではなく、 信用してはいけないのです。


無担保で金を貸し、仮に不可抗力で借主が返済できなくなっても、悪いのは貸した方なのです。

例えば、無担保で貸した後、借りた人が交通事故で亡くなった場合、どうやって回収しますか?

極端な例だと思うかも知れませんが あり得ない事ではないのです。

また、不動産や金融に携わる人は、こういう考え方・意識を持たなければ失格なのです。

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