不動産のツボ HP版 <新築・増改築工事 編>

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<自由設計・フリープランの家>

新築一戸建て分譲には 「建て売り」と「売り建て」があります。


「建売り」の方は、一目で仕様・質が分かります。

モデルハウスとしての意味もあり、 お得な価格設定となっています。

または特別仕様・機能を無料サービスなど、特典付きが普通です。


「売建て」の方は、購入側が希望の間取りプランで建てられるのが

最大のメリットで、マイホームへの夢が大きい人ほど、

間取りに関する要求が多いものです。

新居を買う決意をした人たちは それぞれに理想のプランや仕様というものを持っています。

いわゆる「仕様」については、個人の夢・希望なので 他人がとやかく言えるものではないのですが、

しかし、間取りについては 営業マンと話をすればするほど、 理想を打ち砕かれるお客さんが多いです。


敷地・立地に合った間取りを業者が提案してみても、一度目の提案で納得するお客様は非常に少ないです。

複数のパターンを提案しても納得しないお客様には、自身で間取プランを考えて持って来る人も多くあります。

しかし、間取りプランを一般消費者が考えると、 物理的に建築不可能な間取りプランができるのが常です。


1階と2階の階段がつながっていない、 というパターンが最も多いですね。


次に多いのは、(天井高にもよりますが) 階段の勾配(距離×段数)を 無視したプラン。

直線で上がりきる階段なら、1間尺5寸(=1.25間)は必要です 。

1回曲がる(90度)階段なら、1間半。 2回曲がる「回り階段」なら2間必要。


勾配は建築基準法で定められており、 90年代後半策定のバリアフリー住宅では 更に厳しい規定があります。

厳密には 「踏み面」・・・踏む板面の長さ「勾配」・・・・・傾斜角度 などによる規定があり、

あまりに急な階段は違法建築となってしまいます。なお、違法建築には住宅ローンが融資されません。


話を戻すと、お客さんが考えたプランで 少しマシなものでは 1階と2階の壁がずれている、

とか、 廊下が多すぎて各室が小さくなってしまうパターン。


田舎の大きな屋敷で育った人は 「廊下の両サイドに部屋が配置されているもの」 という先入観が強く、

「廊下が多いのが”ゆとり”というものだ」 との考えを払拭できない人が多い。 (或いは所謂「田の字の家」など)


が、都会では敷地や予算が限られています。なので廊下を多く取ると、 その分、居室の面積にしわ寄せがいく。

建物面積が延べ28坪の家なのに、 廊下の面積合計が8坪(=16畳分)のプランを作ったりする人も居ます。

すると、LDKや和室が小さくなって”ゆとり”のない家ができてしまいます。


他には、 窓や引き戸などの開口部が多すぎて(=壁が少ない)、筋交いを入れる面(耐力壁)が少なすぎ、

すなわち、構造計算(家の強度、特に耐震性)をクリアできないパターンが多く出来上がってきます。


また、業界で数年働いて、 物理的には可能なプランを作れる営業マンでも よく分かっていないのが柱の位置。

物理的には可能でも、柱の位置も考えないと 1階と2階の柱がいわゆる「股」になり、 強度的に不安があります。

他にも、 通し柱が少ないのも、 強度に影響を与えかねない重要な点です。


最も致命的なのは、採光計算です。 窓の大きさや高さを含む位置が影響するのですが、

境界からの距離、軒の出幅なども絡んでくるので、 少しは勉強しないと計算ができないのです。

敷地が狭い都会では、 この「採光計算ができない=間取りを作る能力ナシ」 と言っても過言ではなく、

採光が足りないと建築確認が下りないので建築が許されないし、もちろん住宅ローンは借りられません。


住宅を買う人におススメな方法は、

間取りに関する要望を担当者に伝え、 担当者と2級建築士とにプランを考えてもらう事です。


それと、早めに”ある程度”は妥協することですね。


いつまでも妥協できない人には、私はお客さんによく勧めていました、

「では一度、ご自分でプランを作ってみてください。 それを建築士に見てもらいますから」 と。

すると、 ほとんどの人が1週間で「力作」を考えてきます。


しかし建築士に見せるまでもなく、 その場で私が

「階段がつながってませんね」 「壁がずれています」 「筋交い少なすぎ、許可が下りません」 「採光が取れません」

など 、即指摘していくと、 やっと「妥協も必要だ」と理解しはじめるようになるのが施主の常でした。


初心者の方は、

方眼紙に間取りを書いてみて、 1階と2階がピッタリ合うかどうか、 重ねて透かして見る

と分かりやすいです。 ぜひ、やってみてください。


因みに「建売は見えない部分が どうなっているか分からなくて不安」という心配は無用です。

そこそこの規模の分譲業者なら、建売だからといって手抜きすることは まずありませんが、不安なら

施工現場の近所や分譲業者の地元で、その評判を聞いてみるのも良いでしょう。2008/1/2

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